2018年03月02日(金)15時10分

 平成29年度薬学生涯研修講座開催報告


平成29年度薬学生涯研修講座

「医療薬学最前線」

~再生医療と地域医療~

日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師制度2単位

平成29年度薬学生涯研修講座が平成29年2月25日(日)、レイアップ御幸町ビルCSA会議室にて行なわれました。

超高齢社会を迎えた我が国では疾病の様相も大きく変化しており、それに伴い薬学領域の研究開発、国や地方自治体の薬事行政、病院や薬局における薬剤師業務も急速に変わっています。

今回の研修会では、テルモ株式会社心臓血管カンパニーの神津隆基先生より世界初の心不全治療用の再生医療製品「ハートシート」の開発と展望を、また岐阜薬科大学准教授の林秀樹先生からは、岐阜薬科大学で新たに開設した地域医療薬学の取り組みに関する最新情報の紹介、静岡県薬剤師会副会長の岡田国一先生からは平成30年に行われる介護報酬と診療報酬の同時改定の目指す医療の方向性について講演をいただきました。

講演後の質疑応答では、各講師への活発な質疑応答が行われ、薬剤師の今後について議論する貴重な機会となりました。

 薬学部同窓会と薬学部の共催で行われる講座は今年も盛況

 

座長の渡邉学理事、高橋千恵子理事

ハートシートについて ~テルモの再生医療への取り組み~

神津隆基 先生 

地方公立大学の取り組み ー地域医療、災害医療における薬剤師業務ー

林 秀樹 先生 

介護報酬と診療報酬の同時改定の目指す医療の方向性

岡田国一 先生 

 

平成29年度薬学生涯研修講座運営委員会 委員長 若林敬二

問合せ先:静岡県立大学薬学部同窓会(静薬学友会)事務局
メールアドレス shizuyak@u-shizuoka-ken.ac.jp

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2017年11月27日(月)13時37分

 平成29年度薬学生涯研修講座のご案内


平成29年度薬学生涯研修講座

医 療 薬 学 最 前 線 

-再 生 医 療 と 地 域 医 療- 

超高齢社会を迎えた我が国においては、疾病の様相も大きく変化しており、それに伴い薬学領域の研究開発、国や地方自治体の薬事行政、病院や薬局における薬剤師業務も急速に変わっています。

今回の研修会では、世界初の心不全治療用の再生医療製品「ハートシート」の開発と展望、および岐阜薬科大学で新たに開設した地域医療薬学の取り組みに関する最新情報の紹介および、平成30年に行われる介護報酬と診療報酬の同時改定の目指す医療の方向性について講演をいただきます。

参加申込はこちら 平成29年度薬学生涯研修講座参加申込

フライヤーはこちら 平成29年度薬学生涯研修講座PDF

主催/静岡県立大学薬学部同窓会・静岡県立大学薬学部

日時/平成30年2月25日(日)13:00~16:30   

会場/レイアップ御幸町ビルCSA会議室 5階 5D (CSA会議室地図)

参 加 費/500円(学生無料)  

参加定員/154名(本学卒業生以外もご参加いただけます)

【講演1】13:10~14:10 

「ハートシートについて ~テルモの再生医療への取り組み~」

テルモ株式会社心臓血管カンパニーハートシート事業室  神津隆基 先生

【講演2】14:10~15:10 

「地方公立大学の取り組み -地域医療、災害医療における薬剤師業務-」

岐阜薬科大学 実践社会薬学研究室准教授(地域医療薬学寄附講座兼務) 

林 秀樹 先生

【講演3】15:20~16:20

「介護報酬と診療報酬の同時改定の目指す医療の方向性」

静岡県薬剤師会 副会長 岡田 国一 先生

日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師制度2単位 認定

後援/静岡県薬剤師会、静岡県病院薬剤師会(予定)

共催/日本薬剤師研修センター

■平成30年2月16日(金)まで参加申込を受け付けます。

平成30年2月23日(金)午後3時まで参加申込を受け付けます。

(参加申込期限を延長しました)

当日参加も受け付けます

問い合わせ先平成29年度薬学生涯研修講座運営委員会

〒422-8526 静岡市駿河区谷田52-1 

静岡県立大学薬学部同窓会  

TEL: (054)265-8763  FAX: (054)265-8769
メール: shizuyak@u-shizuoka-ken.ac.jp

ホームページ: http://www.shizuyaku.jp

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2017年03月09日(木)14時04分

 平成28年度薬学生涯研修講座開催報告


平成28年度薬学生涯研修講座

「安全・安心な薬物療法に向けて」

~医薬品の安全性の確保~

日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師制度2単位

平成28年度薬学生涯研修講座が平成29年2月26日(日)、静岡県男女共同参画センターあざれあ大会議室にて行われ100名の参加者で会場が埋まりました。

今回は医薬品の適正使用、安全性の確保の視点で、各方面でご活躍の先生方にご講演をいただきました。

今、患者のための薬局ビジョンとして健康サポート機能を有する「かかりつけ薬剤師」のいる薬局が求められており病院に於いては他職種とのチーム医療の中で薬剤師としてさらに高い専門性が期待されています。

薬学部同窓会と薬学部の共催で行われる講座は今年もほぼ満席

座長の北川俊朗理事と運営委員長兼座長の若林敬二理事

創薬・育薬に於いても薬学的知識がますます必要とされる昨今、医療にかかわる様々な職域の立場からご講演を頂き、いかに安全・安心な薬物療法を提供できるか様々な事例から情報を得る貴重な機会となりました。

当日の講演スライド資料をダウンロードできます。アクセス方法は末尾を参照下さい。

「医薬品安全性学のススメ~薬剤師はクスリの”おまわりさん”です」

宇野勝次先生 

 

「光毒性リスクを回避する医薬品安全性試験法:基礎からレギュレーションまで」

尾上誠良先生 

 

「医薬安全性への思い ~製薬会社の患者志向への取り組み~」

大箸義章先生 

 

「安全で安心な薬物療法を提供していくための病院薬剤師の取り組み」

瀧 祐介先生 

 

「安全・安心な薬物療法に必要な薬局薬剤師の視点」

大森智史先生 

平成28年度薬学生涯研修講座スライド資料ファイルダウンロードはこちら

会員専用サイト「マイページ」にログインいただくとフロントページに「ファイルダウンロード用パスワード」が記載されています。

平成28年度薬学生涯研修講座 於あざれあ H29.2.26

平成28年度薬学生涯研修講座運営委員会 委員長 若林敬二

 

問合せ先:静岡県立大学薬学部同窓会(静薬学友会)事務局
メールアドレス shizuyak@u-shizuoka-ken.ac.jp

 

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2015年02月10日(火)16時59分

 平成26年度薬学生涯研修講座が行われました


平成26年度薬学生涯研修講座が平成27年2月1日(日)、静岡県立大学経営情報学部棟1階4109講義室にて行われました。

今回は、本講座運営委員の渡邉学理事(甲賀病院薬剤科長)を座長とし、教育講演として薬剤師に関わる法律について講義を聴講、引き続き在宅薬剤業務の実際についてのビデオを見ながら小グループ討議(SGD)を行うという2部構成で行われました。

赤羽根先生IMG_1744弁護士の赤羽根秀宜講師 講義全景IMG_1740法律上の注意点について学ぶ

教育講演は、中外合同法律事務所弁護士・薬剤師の赤羽根秀宜先生より「在宅薬剤業務を行う上で知っておきたい法律上の注意点」と題してご講演をいただきました。
薬剤師として業務を行う上で必要な法律の知識などについて、薬剤師の実務経験をお持ちの赤羽根先生よりきめ細やかなご指導をいただきました。

渡邉学様IMG_1783座長の渡邉学理事 SGD中原様説明IMG_1777エーザイの中原敬介講師

また小グループ討議(SGD)ではエーザイ株式会社の中原敬介講師の説明を受けながらスライドで示される具体的な症例を参考に活発な意見交換が行われました。

SGD大木様遠景IMG_1755示されたテーマに真剣に向き合う SGD男性発表IMG_1782各グループでまとめた意見を発表

当日は、小高い丘の上にある大学から真っ白な美しい富士山を望める好天に恵まれました。本日ご参加頂きました皆様、講師を務めていただいた先生方に御礼を申し上げます。

平成26年度薬学生涯研修講座運営委員会
運営委員長 若林敬二

H26薬学生涯研修講座プログラム

問合せ先 静岡県立大学薬学部同窓会(静薬学友会)事務局
メールアドレス shizuyak@u-shizuoka-ken.ac.jp

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2014年02月13日(木)12時21分

 平成25年度薬学生涯研修講座が行われました


平成25年度薬学生涯研修講座
フィジカルアセスメントに必要な技能(実習編)

平成26年2月2日(日)午後1時より、静岡県立大学薬学部棟1階6128講義室および模擬薬局にて平成25年度薬学生涯研修講座を実施いたしました。
本年度は昨年度に引き続きフィジカルアセスメントをテーマに、昨年度に得た知識を活用して実習形式で行われました。
まず、講師の内田信也先生(薬学部実践薬学分野准教授)より、実習内容の説明が行われ、続いて講師の山田浩先生(薬学部医薬品情報解析学分野教授・医師)より、「フィジカルアセスメントの基礎知識」と題したご講演をいただきました。

午後2時からは「フィジカルアセスメント」「在宅患者の簡易血液検査」「在宅患者の輸液管理法」の3つのテーマについて、3グループに分かれて実習を行いました。

フィジカルアセスメントに必要な技能実習プログラムPDF

 


フィジコで心音を聞きわける

講師の山田浩先生

講師の内田信也先生

横倉輝男会長

i-STATでの簡易血液検査

実際に検査機器を体験

点滴をセットする

輸液ポンプを使用

フィジカルアセスメント実習風景

県大構内

当日は午前中から激しい雨が降り、また薬学棟1階ホールに補修工事のための足場が組まれており手狭ではありましたが、そのような状況にもかかわらず、同じ卒業生同士ということもありたいへん和やかな雰囲気の中実習が行われました。

ご参加いただいた皆様、講師を務めていただいた先生方に御礼申し上げます。

平成25年度薬学生涯研修講座運営委員会

 

 
 
 
問合せ先 静薬学友会事務局
メールアドレス shizuyak@u-shizuoka-ken.ac.jp
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2013年01月10日(木)12時36分

 平成24年度薬学生涯研修講座が行われました


 

平成24年度薬学生涯研修講座報告
『フィジカルアセスメントに必要な病態生理の知識』

 

平成24年12月9日(日)、静岡県立大学看護学部棟4階13411講義室にて標記講座を開催しました。
チーム医療や在宅医療を推進する上で、薬物治療の効果を確認し副作用を防ぐために、今や薬剤師にもフィジカルアセスメントの技能が求められています。そこで、フィジカルアセスメントを実施するための第一段階として、薬剤師向けのフィジカルアセスメント教育に実績を有する、静岡県立総合病院救急外来副看護師長の岡下和代先生に講演をして頂きました。
岡下先生には約1時間の講演の中で、フィジカルアセスメントの位置づけ、目的、技術(問診,視診、触診、打診,聴診)等につき、ご自身の経験に基づいた現場感覚に満ちた判りやすい解説をして頂きました。その後、参加者との大変熱心な討論が行われました。
当日の参加者数は100名余に及び、大変有意義なかつ示唆に富む研修講座となりました。

 

平成24年度薬学生涯研修講座運営委員会 委員長 若林 敬二

講演の様子


講演後の質疑応答


講師の岡下和代先生

座長の山田浩教授

 質問の内容は多岐にわたった


熱心に講演に聞き入る参加者


講演
フィジカルアセスメントに必要な病態生理の知識
講師:岡下 和代
(救急看護認定看護師・静岡県立総合病院 救急外来副看護師長)
平成24年12月9日(日) 静岡県立大学看護学部棟4階13411講義室

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2012年03月09日(金)15時41分

 薬学講座(12)要因分析に基づく褥瘡ケア-緩和ケアとしての褥瘡ケア-


要因分析に基づく褥瘡ケア
-緩和ケアとしての褥瘡ケア-

静岡県立静岡がんセンター副院長 青木和恵



 
創傷には必ず要因があり、これを取り除けば創傷は治癒する。褥瘡は創傷の一つであり、褥瘡ケアとは褥瘡要因を取り除くことと言える。褥瘡の要因は二つで、一つは「体圧の上昇」でありこれは必須要因である。もう一つは皮膚や皮下組織などが脆く弱くなる「組織耐久性の低下」である。褥瘡はこの二つの要因が絡みあって発生する。しかし褥瘡には、これら直接的な発生要因を生み出すさらに根本的な要因がある。がん終末期では、がん悪液質症候群から起こる浮腫、るいそう、麻痺などの終末期がんの症状や、呼吸困難やがん性疼痛などを緩和するための同一体位の持続などの症状緩和対策がその根本的要因である。したがってがん終末期の褥瘡を治癒させるには、これら根本的要因を取り除くことが必要となるが、すでに終末期がんの進行によりそのことは不可能であることが多い。そこに緩和ケアとしての褥瘡ケアを展開する意味があるのである。
緩和ケアとしての褥瘡ケアを展開するうえで最も大切なことは、ケア目標の設定である。要因となる終末期がんの症状を褥瘡発見時よりも緩和できるか否かによって目標が決まる。緩和できると判断する場合には、褥瘡要因の除去あるいは軽減が可能となるので「褥瘡の治癒あるいは改善」を目標とする。緩和できないと判断する場合には、要因を取除けないので、褥瘡治癒は不可能として「褥瘡感染の防止と苦痛の緩和」を目標とする。この目標設定を間違うと患者のQOLに大きく影響して緩和ケアとしての意味を失う。
「治癒あるいは改善」の場合には、疼痛、呼吸困難、倦怠感、浮腫などの症状を取り除く、あるいは緩和することが最も重要なケアとなる。これら終末期がんの症状を除去あるいは緩和することで、体圧分散ケアの実施が可能となり治癒あるいは改善が達成される。並行して創傷の治癒過程をスムーズに進めていくための褥瘡治療を行う。「褥瘡感染の防止および苦痛の緩和を目標とする場合」には、すでに行っている疼痛緩和や呼吸困難対策など、症状緩和対策を可能な限り継続して行っていく。その上で薬剤などによる褥瘡感染防止のための管理、褥瘡治療やケアに関連する苦痛の緩和を行う。
どちらの目標を設定しても、体圧分散と、組織耐久性の低下の防止が必要となる。開発の目覚ましいエアマットなどの分散寝具や用具を用いて、時間的、空間的に可能な限りの体圧分散を行う。皮膚の洗浄や保湿などのスキンケア、タンパク質や電解質などの摂取をサポートする。ただしあくまでも根本的要因である終末期がんの症状に関する緩和対策に競合しない範囲で行うことが、緩和ケアとしての褥瘡ケアとして最も肝要なことである。

資料:「要因分析に基づく褥瘡ケア-緩和ケアとしての褥瘡ケア-」(スライド)
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※本記事は、平成24年2月19日に静岡県立大学で行なわれた、平成23年度薬学卒後教育講座 『チーム医療における薬剤師の役割 第2回褥瘡ケアについて』(薬学部・静薬学友会主催)によるものです。

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2012年03月09日(金)15時40分

 薬学講座(11)在宅褥瘡における薬剤師の役割


在宅褥瘡における薬剤師の役割

チューリップ薬局平針店管理薬剤師
NPO愛知県褥瘡ケアを考える会代表
 水野正子




 住み慣れた家で家族とともに最期の大切な時間を過ごしたいと願う人が増え、また積極的に退院を勧める病院も増えて、在宅でのターミナルケアは珍しくなくなっている。
家族は心をこめて介護したいと願っているが、現状ではその負担は軽くない。ターミナル時期に褥瘡ができやすいのは色々な要因が重なり合うせいだが、介護者は自分のケアに不足があったのではないかと自分を責め、周りからも手抜きがあったと思われているのではないかと、傷つくことも多い。さらに大切な家族がその人らしさを保っていると認識するためには見た目も大切で、褥瘡ができることは大きな心配事になる。
 褥瘡は適正な薬剤選択により速やかな改善がなされ、それには薬剤師の専門知識が必要である。薬剤師は処方された薬剤の有効性や副作用をアセスメントする義務があり、褥瘡は創を見て初めて判断できることから、在宅訪問し、創をみることが必須になる。さらに褥瘡は生活習慣が大きな影響を与えているため、在宅での患者さんの様子のアセスメントも大切である。そして薬剤の適正使用を実施する上で、常に処置にかかわれる介護スタッフや家族への薬剤の使い方の指導は欠かせない。
 今回は人手、物品、時間、お金等が不足しやすい在宅での褥瘡治療に薬剤師が関わる必要性と工夫、多職種との連携の重要性を症例を交えてお話したい。在宅医療に薬剤師が関わることの重要性は頻繁に耳にするが、実際に在宅に出かけている割合はまだ多くないと思われる。褥瘡治療をきっかけに、在宅医療に関わる薬剤師が増えていくことを願っている。
  
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※本記事は、平成24年2月19日に静岡県立大学で行なわれた、平成23年度薬学卒後教育講座 『チーム医療における薬剤師の役割 第2回褥瘡ケアについて』(薬学部・静薬学友会主催)によるものです。

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2012年03月09日(金)15時40分

 薬学講座(10)褥瘡チーム医療に薬剤師が関わるほんとうの意義って?-薬剤師の視点を活かした外用療法とフィジカルアセスメント- 


褥瘡チーム医療に薬剤師が関わるほんとうの意義って?
-薬剤師の視点を活かした外用療法とフィジカルアセスメント-

独立行政法人国立長寿医療研究センター薬剤部副薬剤部長
臨床研究推進部高齢者薬物治療研究室長 古田勝経


 
褥瘡は古くて新しい疾患である。それは褥瘡の発症に起因する要素が多岐にわたり、病態を適切に把握したうえで、原因を特定した適切な治療や予防が行われていないことが最大の理由である。褥瘡の病態は多彩であり、一つの創に多様な病態が存在する。単に感染や壊死組織、肉芽の割合、ポケット形成で判断できるものではない。この点を認識せずに適切な治療はできない。ましてや、外用剤の適正使用は不可能といっても過言ではない。外用剤はこれまで注射薬や内服薬に比べ、1ランク下のような感覚で捉えてきた。つまり、単なる塗り薬という感覚でしかみていない。このことが外用療法を軽視し、たとえ副作用が発現しても致命傷にいたることはないと勝手な判断をしてきた経緯がある。この軽率な考えは、外用剤の主薬主義をつくりあげてきた。軟膏剤にいたっては、基剤は単に添加剤であり、薬効には影響しないとの誤った考え方が存在する。褥瘡のような皮膚潰瘍では創の適切な湿潤環境が治癒基盤となり、創面と接するこの基剤の特性が大きな役割を果たす。主薬が奏効するかどうかは滲出液量と基剤特性により決まる。内服薬や注射剤では後発品への切替に添加剤や賦形剤などで議論されるが、外用剤は基剤の影響に配慮する考えはほとんど聞かない。明らかに外用剤軽視である。それらのことが褥瘡という疾患の適切な外用治療を後退させ、治りにくい、治らない褥瘡をつくってきたと考える。また創傷被覆材についても特性を考慮した使い方がもとめられる。褥瘡は治療と予防を同時に進行させることが不可欠であり、各職種の視点を尊重したチーム医療がもとめられる。治らない褥瘡には適切さを欠き、安易に簡便さや安価といった本来の医療とは異なる議論がなされている。
 現在、病態を正しく読み取ることに薬剤師も感心をもつべきである。これは、取りも直さず疾患としての病態を的確に把握し、治癒を目指すことである。内科的疾患と異なり、褥瘡は病態を目で見て、フィジカルアセスメントによる確実な薬物療法を実践することができる。薬剤師が薬物療法に介入することによって効果的な治療が施行でき、治療期間が短縮されることが明らかになった。それは患者のQOLの向上や医療費の抑制にもつながる。褥瘡はチーム医療の原点である。重要なことは薬剤師のフィジカルアセスメントを活かした視点であり、病態に適した薬剤特性を考慮した薬剤の選択使用を他職種と協働することである。
 

※本記事は、平成24年2月19日に静岡県立大学で行なわれた、平成23年度薬学卒後教育講座 『チーム医療における薬剤師の役割 第2回褥瘡ケアについて』(薬学部・静薬学友会主催)によるものです。

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2012年03月09日(金)13時26分

 薬学講座(9) 総論


医薬品提供体制の中で薬剤師に期待するもの

医薬品医療機器総合機構審査マネジメント部長 磯部総一郎


 

資料:「医薬品提供体制の中で薬剤師に期待するもの」(スライド)
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※本記事は、平成24年2月19日に静岡県立大学で行なわれた、平成23年度薬学卒後教育講座 『チーム医療における薬剤師の役割 第2回褥瘡ケアについて』(薬学部・静薬学友会主催)によるものです。




 
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