2012年03月09日(金)15時40分

 薬学講座(11)在宅褥瘡における薬剤師の役割


在宅褥瘡における薬剤師の役割

チューリップ薬局平針店管理薬剤師
NPO愛知県褥瘡ケアを考える会代表
 水野正子




 住み慣れた家で家族とともに最期の大切な時間を過ごしたいと願う人が増え、また積極的に退院を勧める病院も増えて、在宅でのターミナルケアは珍しくなくなっている。
家族は心をこめて介護したいと願っているが、現状ではその負担は軽くない。ターミナル時期に褥瘡ができやすいのは色々な要因が重なり合うせいだが、介護者は自分のケアに不足があったのではないかと自分を責め、周りからも手抜きがあったと思われているのではないかと、傷つくことも多い。さらに大切な家族がその人らしさを保っていると認識するためには見た目も大切で、褥瘡ができることは大きな心配事になる。
 褥瘡は適正な薬剤選択により速やかな改善がなされ、それには薬剤師の専門知識が必要である。薬剤師は処方された薬剤の有効性や副作用をアセスメントする義務があり、褥瘡は創を見て初めて判断できることから、在宅訪問し、創をみることが必須になる。さらに褥瘡は生活習慣が大きな影響を与えているため、在宅での患者さんの様子のアセスメントも大切である。そして薬剤の適正使用を実施する上で、常に処置にかかわれる介護スタッフや家族への薬剤の使い方の指導は欠かせない。
 今回は人手、物品、時間、お金等が不足しやすい在宅での褥瘡治療に薬剤師が関わる必要性と工夫、多職種との連携の重要性を症例を交えてお話したい。在宅医療に薬剤師が関わることの重要性は頻繁に耳にするが、実際に在宅に出かけている割合はまだ多くないと思われる。褥瘡治療をきっかけに、在宅医療に関わる薬剤師が増えていくことを願っている。
  
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※本記事は、平成24年2月19日に静岡県立大学で行なわれた、平成23年度薬学卒後教育講座 『チーム医療における薬剤師の役割 第2回褥瘡ケアについて』(薬学部・静薬学友会主催)によるものです。

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